インドコーヒーの品種、味わいの特徴、カッピングノート、そして北インドのコーヒー農園を紐解く
インドのコーヒーの世界に飛び込んで、主要な品種(アラビカ、ロブスタ、その他)や独自の特徴、味わいの特徴、カッピングノート、そしてインド北部の秀でたコーヒー農園について考察します。インドのコーヒー豆が他の生産地域とどのように異なるのかを学び、インドが世界的なコーヒー生産国として台頭している理由について学びを深めます
NORTH INDIA COFFEE
GTB
6/23/20251 分読む


お茶の国?いいえ、コーヒー界の宝石箱、インド!
インドと言えば「チャイ(Chai)」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はインドには何世紀にもわたる深く多彩なコーヒー文化があります。南インドのカルナータカ州やケララ州で育まれるまろやかなアラビカから、近年世界のスペシャルティ市場で注目されているダージリン、カリンポンなど北部ヒマラヤの新鮮なコーヒーまで、インドのコーヒーは驚くほど豊かな香味と質感を誇っています。
この記事では、インドコーヒーの特別な魅力と主要な品種、その特徴を詳しくご紹介します。さらに、グローバルなコーヒー市場でなぜインドが「注目すべき」存在なのか、北部ヒマラヤのコーヒーがスペシャルティ愛好家の新たな注目を集めている理由についても探っていきます。この記事を通して、インドに眠るコーヒー界の宝石箱をより深く理解できるでしょう。
インドコーヒーの伝説的な始まり
インドコーヒーの歴史は興味深い伝説から始まります。17世紀、スーフィー修行者ババ・ブーダンがイエメンから持ち帰った7粒のコーヒー生豆をカルナータカ州チクマガルールの丘に植えたという話をご存じでしょうか?その小さな種子が、現在の巨大なインドコーヒー産業の基盤となりました。
その後、イギリス植民地時代を経て南インド、特に西ゴーツ山脈を中心にコーヒー栽培が拡大。インド独立後は「インドコーヒー委員会(Coffee Board of India)」が設立され、品質の標準化や研究開発を推進し、インドコーヒー産業を支えてきました。
北部地域でのコーヒー生産は長らく僅かでしたが、ここ20年でダージリン、カリンポン、ガントクなどヒマラヤ地域のコーヒーへの関心が急増し、インドのコーヒーマップはますます多様化しています。
インドの主要コーヒー品種と特徴
インドでは主に二大商業用品種、アラビカ(Coffea arabica)とロブスタ(Coffea canephora)が栽培されています。加えて、消費者の嗜好や環境変化に対応するため、ハイブリッド品種やスペシャルティ品種の研究も盛んです。
アラビカ(Coffea arabica)
栽培標高:南インドでは主に標高900〜1,500m、北部ヒマラヤ地域では最大1,800mまで栽培。
味の特徴:やわらかな酸味と穏やかな甘みが調和し、チョコレートやナッツ、スパイスのニュアンスが感じられます。高地栽培のアラビカは柑橘類やベリー、核果類の明るいフルーツ香も持ちます。
栽培方法:病害虫に弱く気候変動に敏感なため繊細な管理が必要。多くの農園ではコショウやカルダモン、バニラなどのスパイス作物と共に日陰栽培し、生物多様性を高めつつ豆に微妙なスパイス香を与えています。
ロブスタ (Coffea canephora)
栽培標高:標高500〜1,000mで主に栽培。
味の特徴:重厚なボディ感と土っぽい香り、ナッツやチョコレートのニュアンスが特徴です。カフェイン含量は高いものの、インド産ロブスタは日陰栽培と丁寧な加工により他地域よりもまろやかに感じられます。
用途:エスプレッソブレンドでのボディ強化やリッチなクレマの演出に使われます。
ハイブリッド・実験品種
インドコーヒーボードや農業研究機関は、アラビカの風味とロブスタの強さを兼ね備えたハイブリッド品種を開発中です。Kent、SLN.9、Selection 795などが代表的で、独特の味わいと病害虫耐性を持っています。
インドコーヒーの特長
日陰栽培(Shade-Grown):多様な樹木やスパイス作物の下で育ち、土壌の健康と生物多様性を守りながら、コーヒー豆に濃厚なボディ感と複雑な風味をもたらします。
モンスーンマラバール(Monsooned Malabar):南西インドの海岸で湿ったモンスーン風にさらし、酸味を抑えつつ独特で重厚かつまろやかな味わいと土の香りを生み出す、インド独自の精製方法です。
スパイス混植栽培:コショウやカルダモン、クローブなどのインド特産スパイスと共に栽培され、コーヒーに微細で魅力的なスパイスの香りを添えます。
多様なテロワール(Terroir):海岸平野から西ゴーツ高地、ヒマラヤ山麓まで、インドは地域ごとに独特な微気候と土壌を持ち、コーヒーの味わいに明確な差異をもたらしています。
インドコーヒーの味わい(代表的なカッピングノート)
モンスーンマラバール アラビカ
穏やかな酸味、重厚なボディ、トーストや土の香り、柔らかなスパイス香。
マイソールナゲット エクストラボールド アラビカ
中程度の酸味、バランスのとれたボディ、甘いチョコレートとナッツの香り。
ワヤナド ロブスタ
重厚なボディ、土の香り、チョコレートやナッツの香り、滑らかな後味。
ヒマラヤンアラビカ(ダージリン・カリンポン・ガントク)
明るい酸味、柑橘やベリー、チェリーのジューシーでフルーティーな香り、紅茶のようにすっきりした後味。
インドコーヒーの未来と展望
インドコーヒーは今、重要な転換期を迎えています。スペシャルティコーヒーへの熱い関心、政府や機関の支援、環境に配慮した有機栽培の取り組み、そして豊富なストーリーテリングの資源は大きな強みです。
もちろん、気候変動への対応や北部地域での茶産業とのバランス、小規模生産の限界、インフラ整備といった課題も存在します。しかしこれらの挑戦を乗り越え、インドコーヒーは世界市場でさらに輝く準備が整いつつあります。
Global Trade Bridge
Connecting exceptional Indian coffee farms to the global market
Company Information
© 2024. All rights reserved.
globaltradebridge.net@gmail.com